学校設定教科「創知」
2016年度(H28)の1年生から全クラス文理学科となったのを機に、生徒全員(各学年360名)が課題研究に取り組むための新たなカリキュラムを開発しました。2022年度(R4)のSSH先導Ⅰ期の指定からは、新学習指導要領への移行に伴い、創知Ⅰを1単位から2単位に増加し、情報を中心とした教科横断的で実践的なカリキュラムの開発を行っています。
創知Ⅰ (1年次2単位)
創知Ⅰでは、Society5.0社会に広く求められる資質・能力の育成、国際性の涵養等を目的に実施しています。これまでの研究開発の経験から、「創知」と「情報Ⅰ」の親和性は高く、また、プログラミングやデータサイエンス等は「情報」という枠だけにはとどまらないと考え、「情報Ⅰ」だけを切り取って実施するのではなく、「情報」×「○○」という形で教科横断的で実践的なカリキュラムを開発しました。
- 創知ⅠT ※T:探究(tankyuu)
・実施方法 第1学年全員、各クラス単位、毎週1コマ、LAN教室等で実施。
・教材 独自教材「創知Ⅰ・Ⅱ」
・担当教員 理科教員1名と理科・英語・数学・社会の教員が単元に合わせて分担する。
・主な内容 クリティカルシンキング・研究倫理・データ分析(統計学含む)・研究実践・サイエンスイングリッシュ・国際理解・ポスターセッション参加
- 創知ⅠJ ※J:情報(jouhou)
・実施方法 第1学年全員、各クラス単位、毎週1コマ、各HR教室で個人端末を用いて実施。
・教材 独自教材「創知Ⅰ・Ⅱ」、情報Ⅰの教科書
・担当教員 8名(国語、地歴公民、数学、理科、情報、英語、保健体育、芸術(2クラス担当))
・指導案 上記教員が教科の専門性を活かして分担し、情報教員とともに作成する。
・指導方法 担当教員はファシリテーターとして、生徒の活動を促し、適度な発問を行う。
<創知Ⅰの評価方法>
知識・技能の観点では、情報Ⅰの内容をすべて含み、研究倫理やデータ分析の基礎等の基本的な知識問題を中心とした定期考査を実施しています。その他の観点は、成果物やプレゼンテーション等をもとに評価しています。
~サイエンスイングリッシュについて~
英語科と協力して、研究実践でまとめた研究(プレ課題研究)を英語発表で発表します。単元の最後には大阪大学大学院に在籍している理数系の留学生を招き、発表会を開催しています。全生徒が必ず留学生に直接発表できる体制を整えています。
創知Ⅱ (2年次2単位)
創知Ⅱでは、文理を問わず全生徒が、1年間をかけて課題研究に取組みます。研究の成果は論文にまとめ、3月には研究発表会を開催しています。1年生は創知Ⅰの授業の一環として全員が参加し、保護者の方々には見学者ではなく、審査員(事前の審査員研修あり)として参加していただいています。
- 創知ⅡD(前期1コマ分) ※D:ディベート(delibe-to)
・実施方法 第2学年全員、各クラス単位、毎週1コマ、HR教室で実施。
・教材 独自教材「ディベート入門~多面的に見、聞き、主張する~」
・担当教員 地歴公民科教員全員
・展開方法 地歴公民科の教員が独自教材を用いて、ディベートの基礎を教え、クラス内でディベートを実践し、クラスの代表チームを決定する。
・テーマ例 「日本は救急車を有料化すべきか」「石炭火力発電を代替発電にすべきか」など
- 創知ⅡK(前期1コマ分) ※K:課題研究(kadaikenkyuu)
・実施方法 第2学年全員、9クラス同時展開、毎週1コマ(火7限)
・教材 独自教材「創知Ⅰ・Ⅱ」
・担当教員 第2学年担任・第2学年学年代表・理科教員数名
・展開方法 担当教員が各分野に分かれて、グループ決め、研究テーマ決め、先行研究調査等を支援。研究を始められる班から研究を開始する。また、後期から合流する担当教員への情報共有も行う。
・分野分け 第1学年年度末の希望調査をもとに分野の種類を毎年を決定する。 ※下記はR6
・コアチーム 基礎研究型。高校の学習範囲を超えて深く探究する。
【物理・化学・生物・数学・情報・文献】
・インテグチーム 問題解決、文理融合等の研究テーマを実施する。
【社会コース・オープンデータA・B・C】
<創知Ⅱ(前期)の評価方法>
知識・技能の観点では、ディベートや探究活動を進める上での基本的な知識や技能を問う問題を作成し、定期考査を実施しています。その他の観点は、ディベートにおけるパフォーマンス評価、探究活動の成果物(研究内容の説明、進捗状況の報告等)をもとに評価しています。
~ディベートのクラスマッチについて~
各クラス内でディベート大会を実施し、8班(5人チーム)からクラスの代表を決定します。準決勝では、3クラスマッチを3会場で行い、決勝進出の1チームを決定します。決勝は体育館において、いずれのチームも賛成側、反対側で戦えるように巴戦を行います。勝敗の判定役は、本校の卒業生で弁護士の方々をお招きして、勝敗の判定および指導助言をいただいています。
- 創知ⅡK(後期2コマ連続)
・実施方法 第2学年全員、9クラス同時展開、毎週2時間連続授業(火6,7限)
・教材 独自教材「創知Ⅰ・Ⅱ」等
・担当教員 28名(国2、社4、数4、物4、化5、生4、英2、芸1、家1、保体1)がバディを組んで支援にあたる。
・バディ制 文理融合、課題研究のノウハウの共有をめざし、課題研究の指導経験の有無、理数系教員と文系教員等がバディとなり、教員1人あたり3チームの主担当と3チームの副担当とし、2人で6チームの研究に関わる体制。バディの活用例として、指導方法、評価方法、論文作成方法等の共有、異なる視点からの指導助言や論文のチェック等。
・高大連携 各分野とも3回程度は大学の先生や研究者の方々を招聘して、指導助言を得る機会を設定。
・展開方法 3~5人グループの約90班が、各分野に分かれて研究活動を午後の2時間連続授業で行う。研究成果は論文にまとめ、3月には研究発表会(ポスターセッション)を行う。
<創知Ⅱ(後期)の評価方法>
定期考査の枠を使用して、研究内容や進捗状況等を記述させる成果物、中間発表、研究論文等で評価しています。3月のポスターセッションでは、生徒だけでなく教員にも研究交流を楽しんでもらうために評価は行っていません。
~課題研究発表会~
後期期末考査終了後、体育館において、課題研究発表会(ポスターセッション)を開催しています。1,2年生全員が参加し、他校の先生や生徒、中学生等にも公開しています。保護者の方々への公開については、見学者ではなく、審査員(事前の審査員研修あり)として参加していただいています。
創知Ⅲ (3年次1単位)
創知Ⅰ、創知Ⅱで身につけた様々な能力の実践の場として、生徒個人が主体的に行動する能力や協働性等、研究者として必要な資質の育成を目的に実施しています。どの分野でも求められる能力としての論理的思考力に着目し、「課題に直面し、情報を整理し、解決すべき課題を確認し、解決方法を協働的に考え、具体的な解決計画をたて、その解決策を実践し、本当に解決できるかを確認し、全体で共有する」という流れをグループで協働的に繰り返し実施します。数学またはデータサイエンスの分野で研究を行います。
・実施方法 第3学年全員、創知Ⅲの各クラス単位、教室等で実施。
・教材 指定なし。各班で必要な教材を持ち寄る。
・担当教員 数学科教員7名
・評価方法 探究活動報告書、成果物等で評価を行う。