第42回桃陰文化フォーラム
2022.11.05
11月5日、最後となる第42回桃陰文化フォーラム。
講師には、中京大学スポーツ科学部教授 來田享子先生(天王寺高校34期)をお迎えして「スポーツを通して考えるジェンダー研究の新展開」というテーマで講演をしていただきました。
生徒・保護者、卒業生や一般の方等、約70名の参加があり、世界における日本のジェンダー理解の現状、性別についての理解、スポーツ界におけるジェンダー不平等の現状等のお話をしていただきました。
講演後の質疑応答では、たくさんの質問が寄せられ、多くの人が興味と高い関心をもって講演に聞き入っていたことが伺われました。
以下、講演のお手伝いをし、講演に参加した学習文化委員の感想をお届けします。
- 考えたことがなかった自分の性別について考える機会になり、LGBTと一口に言っても種類が多いということも知りました。ジェンダーについて興味をもつようになったので、本日参加して良かったです。
- 聞けば聞くほど興味深く、これからの社会がもっと寛容であるために、皆が知って考えるべきだと思いました。
- 講師の先生や私たちの時代はまだまだ男女差が激しく、男らしく女らしくという言葉が当たり前に使われていました。男女関係なくできる仕事の能力について、差別することはおかしいですし、同じように扱ってほしいですが、反面やはり男女では体の構造が全く違うため、何もかも同じようにすることは無理だと思います。
近年、企業がスタッフを募集するにあたって、男性募集と書いてはいけなかったり、(〇〇の業務のため、男性が望ましいと書けばよいのでは?)トイレのマークも男女はっきりわからないようにした方がよいという意見などには戸惑いを覚えます。
女性が社会でどんどん活躍していくにあたり、体や心に無理がないよう、お互いがわかりあえる世の中になればよいなあと思います。
- 最近の小中高では、ジェンダー問題を取り扱う授業もなされているため、子どもたちの方がよく知っている内容だろうけれど、保護者の年代の人はこのような教育を受けてきていないので、話を聞くよい機会だった。
多様性という言葉はよく聞くようになったが、日本はまだ多様性を受け入れられる土壌がないように感じる。
LGBTQに関しても、心のどこかで自分の知らない誰かの話と思っているところがあって、我が子がそうだった時にどう対応するかについては、全く考えていない人が多いのではないか。
天王寺高校では、まだ体育の授業や運動会の種目で、男女別になっているところがあるので、今後の課題として取り組んでもらえればよいと考える。
- ジェンダーについて日本が遅れているとは聞いていましたが、ひどい現状をデータとして突きつけられ、これほどとはと愕然としました。LGBTQの方々の生きづらさに胸が痛みました。
また、講演中、問いかけられた質問に答える際、自分の頭の固さを痛感しました。誰もが自分らしく生きられる社会にするために、すべての世代の人が聞くべき大切なお話でした。
- 私は障がい者関連の話を聞くことが多く、今回のジェンダーの問題も障がい者に当てはめて考えながら聞いていました。障がい者も昔は隠すべき恥ずかしいことで、障がいがあるというだけで一括りにされて、みんなと同じ教育や仕事の機会を受けるのが難しいことが多くありましたが、今は親の会などのネットワークがたくさんでき、障がいにもいろいろあることが広まり、その人に合った支援を受けられたり、インクルーシブに障がいのない人たちと同じ教室、同じ職場で過ごせるようになってきました。
2016年には障害者差別解消法が施行され、合理的配慮が受けられるようになり、差別がなくなり平等になったとまでは言えないものの、かなり進歩してきたと思います。
ジェンダーの問題もまずはみんなに関心を持ってもらい、理解が広まれば望む平等が近づいてくるのではないかと思います。少数派は、多数派が当たり前のように手に入れられる権利を認めてもらえなくて苦労しますが、理解者が増えればその苦労も少しは減るのではないかと考えます。
- 受講されている生徒が思っていたより多く、また、質疑の内容も日頃から関心を持って、アンテナを張り巡らせていることに感心しました。今回のように、生徒たちが受講する講演に保護者が同席して受講できたこと、ありがたかったと思います
これからの時代を生きて、社会を作り出していく子どもたちと、親世代とでは、感性も異なります。私たちが当たり前だと思って無意識に通ってきた事象について、視点や立場を変えてとらえていくこと、そして、柔らかな心を忘れれないでおこうと思いました。
- 來田先生の「今は変革の時」という言葉が印象に残りました。
歴史や教育の中で歪められてきた偏見はLGBTQだけでなく、実は身近なところにもあります。來田先生の様に大切な研究をされている方のお話を聞いた私たち大人や生徒たちが、日常の中に落とし込んで「自分ごと」として考え、行動することが、希望ある未来への種になるのだとしみじみ思いました。
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