「情報A&数理科学T」 <テキスト21>
第1章 数式処理
§1 Mathematica入門
Mathematicaは,数式処理ソフトです.このソフトは,主に,数式の計算を行い
ますが,関数のグラフや図形の描画も行います.ここで学習したことを数学の授
業でも活用していきますが、君達自身でも活用方法を考えてください.
まず,操作方法に慣れてください.
1.Mathematicaの基本操作
まず,次のスタートアップパレットの
10分間のチュートリアルをやってくださ
い.23ページありますが,なかには難し
いものも含まれていますが,一通り見て
おいて下さい.
メニューバーのヘルプ(H)のなかのチュートリアル..(T)でも行えます.
・ ノートブック
起動すると左に表示されるウインドを
ノートブックといい,ここに式や文字
を入力すると,結果がここに表示され
ます.
最初は,このノートブックの名前は,
名称未定義となっています.入力した
ものを保存すると,名前が付きます.
・ パレットについて
メニューバーのファイル(F)にパレット(E)があります.
ここには,数式や関数の入力を支援する幾つかのパレットがあります.初めの
うちは,4 BasicInput(基礎的な入力)を表示させておくとよいでしょう.
・ セルについて
ノートブックでは,セルという単位で式や文字が
管理されています.
セルの種類には,「入力セル」,「出力セル」,
「タイトルセル」,「テキストセル」などがあります.
セルの表示形式をStandardForm(標準形)にして下さい.
<例1> パレットの入力に慣れる.
AlgebraicManipulation(代数的操作)とBasicInput(基礎的な入力)の
2つのパレットを使って,次の計算をせよ.
(1)
Sin[Pi/3] の値を求めよ.
(2)
を計算せよ.
(3)
を展開せよ.
(4)
を因数分解せよ.
〔今回使用するコマンド〕 展開(Expand), 因数分解(Factor) |
<練習1> 次の計算をせよ.
(1)
Cos[Pi/4] の値を求めよ.
(2)
を計算せよ.
(3)
を展開せよ.
(4)
を因数分解せよ.
(5)
を通分せよ.
「情報A&数理科学T」 <テキスト22>
・ ヘルプについて
Mathematicaの操作方法や
コマンド、組み込み関数に
ついて調べるには、ヘルプ
を使います.
これについて慣れておくと
Mathematicaの学習が、容
易になります.
・ 関数のグラフ
グラフを描くには,Plotというコマンドを使います.
<例2> の
グラフを描く.
※ Plotには,いろいろな
オプションがあります.
オプション名は,
Options[Plot3D]で調べ
られます.
オプション間は,コンマ「,」で区切ります.
〔書式:オプション名→設定値〕
<例>
<問1> Plotのすべてのオプションについて調べよ.
<練習2> 次の関数のグラフを描け.
(1) (2)
(3) (4)
<例3> 2つの関数のグラフを描く
※ 2つのグラフを描くには、
リストを使います.
中括弧{ }の中に,描きた
い関数を並べます.
また,オプション「PlotStyle」
では,グラフの色と太さを指定
します.
※ RGBColorについて
[ ]の中に赤(Red),緑(Green),青(Blue)の順に,0〜1までの
数値でその強さを指定します。
※ グラフの線の太さは,Thickness[数値]で指定します。
<練習3> 次の三角関数のグラフを 0 ≦ x ≦ 2ð の範囲で同じ座標
に描け.ただし,グラフの色と太さは自由とする。
(1) ,
(2) ,
(3)
,
,
<問2> 関数 のグラフは,関数
の
グラフをx軸方向にいくら平行移動したものであるか。このことを
Mathematicaで確かめよ。
「情報A&数理科学T」 <テキスト23>
・ 曲線の媒介変数表示
媒介変数表示で曲線を描くには,ParametricPlotというコマンドを使います.
<例4> 直線 を描く
直線の方向ベクトル= ( 1 , 2 )
通る点A(
0 , 1 ), = ( 0 , 1 )
ベクトル方程式
成分で表すと,( x, y ) = ( 0 , 1 ) + t( 1 , 2 ) = ( t , 2t + 1 )
媒介変数表示 (tをパラメータまたは媒介変数という)
<参考>(教科書「数学C」p.73)
原点を中心として,半径1の円の
媒介変数表示は,円周上の点をP( x, y),
線分OPとx軸となす角をθとすると,
x = cosθ,y = sinθ となるので,
と表せる.
<練習4> 次の媒介変数表示で表されている図形を描け.
(1) ( 0 ≦ t ≦ 2π )
(2) ( 0 ≦ t ≦ 2π )
・ 陰関数のグラフ
陰関数とは,円の方程式(
)のように
という形で表される関数のことです.
<例5> 円 を描く
この関数のグラフを描くには,
「ImplicitPlot」というパッケージ
を読み込む必要があります.
<<Graphics`ImplicitPlot`
※ 「’」ではなく「`」
= は2つ続けて==とする.
<練習5> 次の方程式で表される図形を描け.
(1) (2)
(3) (4)
・ 不等式の表す領域
不等式の表す領域を表示するには,「InequalityGraphics」というパッケージ
を読み込む必要があります.
<<Graphics`InequalityGraphics`
<例6> 不等式 描く
※ 共通部分を描くには,「」を使い
ます.
2.2次曲線
方程式の表す曲線のうちで,
がx,yの2次式のものについ
て考る.
<一般形>
・放物線
直線 x = -p と定点F(p,0)からの
距離が等しい点の軌跡を求めると,
,
PH = PF より
∴
<標準形>
<例7> 焦点(1,0),準線 の放物線の方程式を求めよ.
また,準線と放物線の概形をかけ.
<練習6> 次の放物線の焦点の座標と準線の方程式
を求め,準線と放物線の概形をかけ.
(1) (2)
(3) (4)
・楕円
2定点F( c,0),F’( -c, 0)からの距離の和が一定 2a
である点の軌跡を求めると,
PF + PF’ = 2a より,
よって,
両辺を2乗して整理すると,
もう一度両辺を2乗して整理すると,
(すなわち,
)とおくと,
4つの点A,A’,B,B’ を頂点といい, 線分A’Aを長軸,線分B’Bを短軸という.
<標準形>
<例8> 2定点(4,0),(-4,0)からの
距離の和が10である楕円の方程式を求
めよ.また,楕円の概形をかけ.
<練習7> 次の楕円の焦点の座標と
長軸,短軸の長さを求め,楕円
の概形をかけ.
(1)
(2)
(3)
「情報A&数理科学T」 <テキスト25>
・楕円の媒介変数表示
半径aの円周上の点Q(x’,y’)の
媒介変数表示を
とし,
線分QRと楕円
との
交点をP(x,y)とすると,
より,
となり,
θの値を考慮すると, となる.
よって, <楕円の媒介変数表示>
<問3> 上の図において,比 QR:PR は一定であることを示せ.
また,その比はいくらであるか.
<例9> 焦点が(0,4),(0,-4)で,2焦点からの距離の和が10
である楕円の媒介変数表示と楕円の方程式を求めよ.
また,その概形をかけ.
<練習8> 次の楕円の媒介変数
表示を求め,その概形をかけ.
(1)
(2)
・双曲線
2定点F( c,0),F’( -c, 0)からの距離の差が
一定 2aである点の軌跡を求めると,
より,
-c
よって,
両辺を2乗して整理すると,
もう一度両辺を2乗して整理すると,
(すなわち,
)とおくと,
点A,A’ を頂点といい,線分A’Aを主軸,2直線
を漸近線という.
<標準形>
<問4>
を示せ.
<例10> 2定点(5,0),(-5,0)からの
距離の差が8である双曲線の方程式
を求めよ.また,その概形をかけ.
<練習11> 次の双曲線の焦点の座標と主軸
の長さを求め,双曲線の概形をかけ.
(1) (2)